過去の受賞作品
第1回
学生住宅デザインコンテスト
受賞作品
2015年9月29日(火)に審査会が行われ、
厳正な審査の結果、以下の方々の受賞が決定いたしました。
最優秀賞(1点)賞状、賞金 30万円
大きなテーブルと軒下の家
- 江種 航(えぐさ・わたる)
- 関西大学 環境都市工学部 建築学科 4年
コンセプト
家にほとんどいない夫と家に常にいる妻。このような関係性の暮らし方はよくあることだ。そのような暮らし方においてまで閉じた家は幸せなのだろうか?ここでは住みながら開き、街の人が気軽に入ってくる。大きなテーブルと軒下の空間には人が集まり、生活に地域が入り込んでくる街のリビングのような家。
受賞コメント
記念すべき第1回目のコンテストで、最優秀賞に選んでいただきありがとうございます。受賞を聞かされた時は、自分が最優秀賞を取れると思っていなかったので、非常に驚きました。自分が提案したものが評価されたのだとわかり、すぐに喜びに変わりました。
今回のコンテストでは「家をとことん楽しむ」がテーマだったので、家にほとんどいない夫とほとんど家にいる奥さんというよくある家族構成の家に対し、閉じきった家は幸せなのだろうか? という素朴な疑問から「住み開き」ということをメインテーマに設計しました。
家は周辺の環境の中に建てられるものなので、家の中だけが楽しいだけでなく、地域のリビングになるように設計しました。この家が建つだけで住人だけでなくこんなにも周辺の人たちも楽しめるということを提案できたのかなと思います。
受賞を励みに、今後も社会に対して自分がいいと思えるものを提案していきたいと思います。
優秀賞(3点)賞状、賞金 10万円
温室に浮遊する家
- 川名 恵祐(かわな・けいすけ)
- 東京都市大学 大学院 工学研究科 建築学専攻 修士1年
コンセプト
温室の上に住まう。この住宅は夏は床を高くし足下を開放する事で涼しく暮らし、冬はガラス戸を閉めて温室の上に暮らす。床下の熱交換と吹き抜けによる暖かな空気の流入により年間を通して快適な室内環境を可能にする。ピロティ(温室)には畑があり、世話をするためガラス戸の開閉という行為を日常の生活の一部として取り入れる。それらの所作は日常の生活をしながら、環境負荷の低減に務める事となり、自己が自然の一部として生きることを顕在化させる。身の丈にあった省エネルギーな生活を過ごす事で、環境問題への意識化が期待できる。また四季折々の作物を家族で育てる事により、農作業や食事を取る等の同じ経験の共有や、四季という時間を身体的に体感し享受することができる。温室の上に住居を積層する事でより快適で、原初的でありながら刷新された住宅の提案である。
受賞コメント
このたびは栄えある賞を頂戴し、感謝と喜びの気持ちでございます。「温室の上に住まう」をコンセプトにした住宅です。夏は足下のガラス室を開放することで熱を逃がし、冬は閉じきることで温室を作り、その熱を利用しながら暮らします。このガラス室では家族が食べる分だけの畑を備えており、日常生活の延長としてガラス室を生活の一部として利用します。環境負荷の低減に務めることができ、身の丈に合った省エネルギーな生活を送ることが可能となります。これは温室の上に住居を積層することでより快適で、原初的でありながらも刷新された住宅の提案です。
おばあちゃんの斜め帽子
- 井上 慧祐(いのうえ・けいすけ)
- 芝浦工業大学 大学院 理工学研究科 建設工学専攻 修士1年
コンセプト
昔から、屋根は住宅の傘でした。晴れの日は、日傘のように涼しい風が通り抜ける日陰をつくります。雨の日は、雨傘のようにみんなを雨から守る居場所をつくります。軒先を時には一人で、時にはみんなで楽しみながら暮らす住宅を提案します。
受賞コメント
軒を主題にして設計しました。昔、祖母の家の軒先でくつろいだ体験がベースです。住宅の中に平面的、断面的に中間領域を作り出して、まちと「いい関係」をつくりながら、家を楽しむというものです。住宅は木密地域の京島に位置し、三面が道路に囲まれた敷地です。それぞれの道路に面する軒の高さを少しずつ変えていくことで、家を楽しめる居住環境やまちとの付き合いかたを提案しました。
第1回の開催で優秀賞という大きな賞を受賞できて大変嬉しいです。しかし、最優秀賞に一歩届かなかったことが非常に悔しいです。この経験をこれからの修士の設計の活力にしていこうと思います。
dekoboko
- 神戸 寛貴(かんと・ひろき)
- 東京大学 大学院 工学系研究科 建築学専攻 修士2年
- 大石 幸奈(おおいし・ゆきな)
- 東京大学 大学院 工学系研究科 建築学専攻 修士1年
コンセプト
現在の住宅はODK型で示されるように、家族の空間である共の領域と個人の部屋である個の領域に分割されており、家族の活動が分断されている。dekobokoでは作業場、休憩、料理の各々の活動の場をリビングに溶け込ませることで、それぞれの活動をしながら、家族が交わっていく。そんな家族で一緒に生活することをとことん楽しむ家を提案する。
受賞コメント
現在の住宅は「個の空間」と「共の空間」が分断されています。作業、休憩、料理など個の活動の場をリビングに溶け込ませることで、それぞれが活動をしながら家族が交わるような住宅を提案しました。
具体的には在来工法のモジュールを生かし、床や柱梁といった建築の要素に家具や建具のさまざまな機能を付与すること、地下に掘り込むことで1年を通して安定した地中熱の影響を受けやすい場所と外部の環境を取り込みやすい場所をつくることの二点を行っており、居住者のライフスタイルに合わせて住宅全体を使いこなすことのできる空間構成で、さまざまな活動柔軟に対応できるようになっています。
HINOKIYA賞(1点)賞状、賞金 10万円
ヤドカリの家
- 西潟 健人(にしかた・けんと)
- 日本大学 工学部 建築学科 4年
コンセプト
ヤドカリは成長に合わせて住まいを変える。
一方、人間は住まいという名の貝に縛られ生きている。
しかし、ライフステージに合わせてニーズは変わる。
ならば、我々も'ヤドカリ'になろう。
受賞コメント
この度は、HINOKIYA賞をいただきまして、誠にありがとうございます。
テーマ「家をとことん楽しむ」を見た際に、祖父母と孫が庭で遊ぶ、近所の人と縁側でお茶を飲む、家族全員で星を眺め語り合う、このようなイメージが強く見えました。これにより、自分が考える「楽しい家」とは、人と人との交流が紡ぎだす物語の誕生を助長・継承していくものと定義し、コンセプトとしました。
継承のためには、何世代にも亘って家族と共に過ごせる家でなくてはならないとの考えから、ライフステージの切替え時に家を住み替えるという構想にたどりつきました。
本構想は、成長に応じて貝を住み替えるヤドカリからヒントを得ました。とことん楽しんで設計した作品です。
入選(数点)賞状
食を楽しむ家
- 髙橋 奈弓(たかはし・なゆみ)
- 日本大学 生産工学部 建築工学科 4年
コンセプト
「家をとことん楽しむ」と考えた時に、
仕事があって、学校があって、子育てがあって、趣味の時間がある…
今の時代ライフスタイルは人それぞれである。
シンプルに家族がそろう時間といえば「食事の時間」なのではないか?
食事の時間を大切にすることで、食を通して家族がつながる。
「食事を家族で楽しむ」=「家をとことん楽しむ」と考え、食事を楽しむための家を設計した。
受賞コメント
この度は入選することができ、誠に嬉しく思っております。「家をとことん楽しむ」=「食事を家族で楽しむ」と考え、家にあらゆる食を楽しむ行為を詰め込みました。今回受賞することができたのは、今まで指導していただいた渡辺先生を始めとする先生方のおかげです。この結果に満足せず、日々努力していきたいと思います。本当にありがとうございました。
adapter.
- 秋山 愛斗(あきやま・まなと)
- 北海道職業能力開発大学校 応用課程 建築施工システム技術科 3年
- 渋谷 優花(しぶや・ゆうか)
- 北海道職業能力開発大学校 専門課程 建築科 1年
コンセプト
楽しいことってなんだろう?
「スポーツすること」「音楽を聴くこと」「料理をすること」「人と話すこと」
楽しいことは人それぞれです。
一人一人が、違った「楽しい」を持っています。
楽しいことが思う存分出来る家だったらどんなに素敵でしょう。
そして「楽しい空間」を自らの手で作ることが出来たら、どんなにわくわくすることでしょう。
楽しいことのためにする「空間づくり」は、きっとそれ以上に楽しいことになるのではないでしょうか。
だから、それがいつまでも楽しめる家を作りました。
「楽しむ」ための空間を作る「楽しみ」を感じられる家。
「楽しい」が繋がる空間、それがadapterです。
受賞コメント
楽しいってなんだろう?「楽しい」はみんな違う。
それぞれの楽しみを叶えられる家なら、その空間を自分の手で作ることができたなら、それはきっと何よりも楽しいだろう。
完成形のない、「住人十色」の住まい。この家で生まれる多くの楽しみを住人と育み、「家族」のように、心を馳せる家であってほしい。
「楽しむ」ための空間を作る「楽しみ」を感じられる家。「楽しい」が繋がる空間、、、
adapterはそんな思いからできました。
だんだん庭の家
- 有瀬 友梨(ありせ・ゆり)
- 北九州市立大学 大学院
国際環境工学研究科 環境工学専攻 建築デザインコース 修士1年
コンセプト
昔ながらの日本の風景として伝わる、だんだん畑(棚田)を住宅に取り入れた。棚田は、小さな畑がいくつも重なり、風景を形成している。ひとつひとつの畑には、昆虫や水辺のいきものたちが集まり、彼らのすみかとなっている。
この住宅は、小さな庭が階段状に集まり、地上から上の庭へと徐々に登ることができる。形式の違うひとつひとつの庭が、家族それぞれの居場所になっていくのだ。
家の中心は、タイル張りの中庭、その横に屋根のあるサンルーム、地上に一番近い庭はパーゴラのあるカフェスペースになっており、次に家庭菜園の庭、子どもたちの遊びの庭と繋がっている。家族一人一人が、その日の気分や自分の趣味に合わせて、庭を使い分けることができる。
受賞コメント
将来、家族と住みたい家を想像しながら設計しました。私は植物観賞が好きで、落ち着ける場所が沢山欲しいと思い、複数の小さな庭が繋がって登っていくことのできる、だんだん庭という形ができました。これらの庭は、子どもたちの秘密基地となるロフトに直結する遊び場や、家庭菜園、カフェスペースとなります。また、内部は吹き抜けで部屋が繋がっており、子どもたちが遊ぶ声が家中に聞こえる賑やかな家になることを想像しました。
あたたかい蔵の家
- 内田 健太(うちだ・けんた)
- 芝浦工業大学 大学院 理工学研究科 建設工学専攻 修士2年
コンセプト
私は「蔵」の、物に囲まれた豊かさに魅力を感じている。
物がアーカイブされ続けていく空間は、過去の様々な記憶が溜め込まれていく。「蔵」は過去のための場所なのだ。
一方で「家」について考えてみる。
私たちの日常は後戻りする事なく、瞬間瞬間に時間を消費しながら未来へと生きている。営みの場である「家」は未来のための場所なのだ。
しかし、「家」も記憶をアーカイブする。その家で過ごした思い出がアーカイブされ、かけがえのない場所になる。「家」も「蔵」になり得るのだ。
記憶と物がアーカイブされ続け、時間が経つにつれ豊かになっていく家。
過去に開いた「蔵」と未来に開いた「家」が合わさった「あたたかい蔵の家」を設計する。
受賞コメント
この度は栄誉ある賞を頂き、ありがとうございます。1回目という記念すべき回にこのような賞を頂き、うれしく思います。
「あたたかい蔵の家」は多量の構造用集成材の組み合わせにより、モノを貯め込む棚と100年保つ強度、やわらかな採光を獲得します。
モノと記憶を貯め込みながら、100年住み続けられるような家になってもらいたいと思い、設計しました。