審査員
- 審査員長
- Takaharu Tezuka
- 手塚 貴晴
- 建築家/(株)手塚建築研究所 代表/東京都市大学 教授
略歴
1964年 | 東京都生まれ |
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1987年 | 武蔵工業大学卒業 |
1990年 | ペンシルバニア大学大学院修了 |
1990~ 1994年 |
リチャード・ロジャース・ パートナーシップ・ロンドン勤務 |
1994年 | 手塚建築企画を手塚由比と共同設立 (1997年 手塚建築研究所に改称) |
2009年~ | 東京都市大学教授 |
応募者へのメッセージ
木造は柔らかいのである。木や鉄がコンクリートに比べて柔らかいことは小学生でも知っている。しかし今言わんとしていることはそれではない。木造は変幻自在なのである。
教育が悪い。建築学科に入学すると、木軸の図面を描かされ模型を作らされる。それ自体に問題はないのであるが、その対象建築物が大抵の場合つまらない。日本の教育システムというものは、どうしても型式指定が好きで、英語教育を文法から始めるように、木造教育を用語と工法から始めてしまう。木造が嫌いになるのは当然である。
本当の木造はもっと自由なものなのだ。様式と言われるものは、大概の場合必要に駆られた創意工夫から生まれてきている。日本建築様式に付き物の斗供(ときょう)と呼ばれるものにしても、木というめり込みやすい材料をいかに強く組み合わせるかという必要から生まれたのだ。原型である法隆寺のような古建築は意外にも自由である。それがいつしか様式という決まりごとに成り果ててしまったのだ。
今回は決まりごとを忘れて、木というものはなんであるかということを肌で感じて欲しい。教科書に出ている様式だけが木造ではないのだ。樽も木造である。船も木造である。キャンプファイヤーに使う井桁に組まれた薪だって木造である。南京玉すだれだって木造である。扇子だって木造である。唐傘だって木造である。一本インターネットで買ってみるとわかる。実に合理的で美しい。建築に比べればずっと自由である。それが建築になると大きく重たくなるから少々難しくなるだけなのだ。
しかし理屈は同じである。ちょっと頑張って工作のつもりで色々作ってみると楽しい。建物の作り方が変われば空間が変わる。空間が変われば住み方も変わる。構造だけでなく、住み方も合わせて考えて貰いたい。自由である。ただしひとつだけ。鉄骨で構造を作ってそれに木を貼り付けるような誤魔化しはご法度である。
あくまでも構造が木であること。これが条件である。仕上げは何でも良い。
主な受賞歴
- 日本建築学会賞(作品)(2008年 ふじようちえん)
- 日本建築家協会賞(2008年 ふじようちえん)
- グッドデザイン金賞(1997年 副島病院)(2013年 あさひ幼稚園)
- 日本建築家協会 優秀建築賞(2015年 空の森クリニック)
- モリヤマRAIC(カナダ王立建築家協会)国際賞(2017年)
- BCS賞(2018年 空の森クリニック)
- World Architecture Festival 2018, School Completed Buildings Winner(むく保育園)
- 審査員
- Atsushi Kasuya
- 粕谷 淳司
- 建築家/カスヤアーキテクツオフィス 代表/
関東学院大学 准教授
略歴
1995年 | 東京大学工学部建築学科卒業 |
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1997年 | 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了 |
1997~ 2002年 |
アプル総合計画事務所勤務 |
2002年 | カスヤアーキテクツオフィス(KAO)設立・主宰 |
2008~ 2013年 |
明治大学・工学院大学で非常勤講師を歴任 |
2013~ 2018年 |
関東学院大学専任講師 |
2018年~ | 関東学院大学准教授 |
応募者へのメッセージ
「柔らかさ」とは、単に物質としての硬さの度合いを指しているのではなく、人がそれに触れたときに姿を変えていく速度の緩やかさ、つまり、時間を内包する概念なのではないかと思います。木材は建築に使われる材料の中でほぼ唯一再生可能な素材、「地球に優しい」というようなゴマカシではなく本当の意味で「正しい材料」になり得る素材ですが、ここでは木材のもう一つの側面である「柔らかさ」に着目した提案を期待しています。公共建築がハコモノと呼ばれて久しいように、現代の住宅も、まるで工業製品のようになって、人々の手から遠ざかっています。木材を使うことによって住宅をもう少し柔らかく開き、人々に近づけてみてください。
主な作品
- 審査員
- Izumi Kuroishi
- 黒石 いずみ
- 青山学院大学 教授
略歴
1980年 | 東京大学卒業 |
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1982年 | 東京大学大学院建築学修士修了 |
1982~ 1987年 |
大谷幸夫研究所勤務 |
1988~ 1990年 |
ペンシルバニア大学客員研究員 |
1998年 | ペンシルバニア大学芸術学部博士課程建築史・理論Ph.D修了 |
2001~ 2007年 |
青山学院女子短期大学教授 |
2007~ 2008年 |
ロンドン大学バートレット校客員講師 |
2008年~ 現在 |
青山学院大学総合文化政策学部 教授 |
2014~ 2015年 |
バージニア工科大学客員教授 |
2017年 | デルフト工科大学客員教授 工学院大学、日本大学生産工学部、上智大学などで非常勤講師 |
応募者へのメッセージ
「やわらかい木造とは」と問われた時、誰しもが建築そのもののやわらかい状況を考えることは難しく、素材のソフトな触覚や優しい形のイメージ、あるいは状況への柔軟な適応能力を思うだろう。このような既存のイメージや理解、またデザインをする上でのオリジナルな形態や用・美・強の原理から自由になり、素材そのものから考えることはできないだろうか?従来の木造の構法や構築物としての家の性能、生活の定型的あり方にもとらわれず、木材の素材としての柔軟さを追求して魅力的な生物の棲家を考えるとしたら、どんな空間ができるだろうか?そこに住むことの喜びはなんだろうか?建築的思考の限界を超えたアイディアが出てくるのを期待している。
業績
「応答漂うモダニズム」真壁智治編集、左右社、2015、共著
「Constructing the Colonized Land: Entwined Perspectives of East Asia around WWII」, Ashgate 2014, 編著
「東北震災復興と今和次郎:ものづくり・くらしづくりの知恵」、平凡社、2015、著
「Introducing Japanese Popular Culture」, Routledge 2018, 共著
「時間の中のまちづくり:歴史的な環境の意味を問いなおす」、鹿島出版会、2019、共著
毎日新聞社 | 1名 |
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ヒノキヤグループ | 1名 |